介護報酬や、労働環境についても、見直しが必要だという指摘は多い。
都内で訪問介護と居宅介護支援事業を行う株式会社の場合、正社員は7人、登録制のホームヘルパーは約40人で、月の売り上げは平均約500万円。
だが、正社員に月平均約18万円、ヘルパーに時給1400円を支払い、設備費なども払うと、「辛うじて利益が出るかどうか。赤字の月も多い」という。
「介護のニーズはあるのに給料が安すぎて人が集まらない」と同社社長は苦しい胸の内を語る。
関西国際大の長谷憲明教授は、「厚生労働省の調査からみると、訪問介護は全体として赤字経営。1事業所あたりの実利用人員を40人以上、報酬単価の安い家事的なサービスを3割以下に抑えれば黒字も可能だが、それも他産業の労働者の6割以下の平均給与水準で働く介護労働者により担われていることが前提となる」と話す。
その上で、「団塊世代の高齢化でサービスの質・量の充実が欠かせない。今回の事件をきっかけに、介護報酬や介護労働者の待遇についても検討が必要だ」と指摘している。
介護ビジネスで民間企業はどのように利益を上げているのだろうか。
みずほ証券シニアアナリストの渡辺英克さんは、「保険外の費用を独自に上乗せできる有料老人ホームは利益を出せるが、介護報酬のみの在宅サービス分野は事業を続けるのがやっとという企業が多い」と話す。
同証券の調査では、訪問介護事業所1か所あたりの平均月売上高は03年5月に約292万円あったが、報酬見直しがあったことなどから、07年2月には約195万円に減少している。
企業の多くは高齢化で要介護者が増え、市場が広がると期待して参入するが、介護保険の総費用が抑制傾向にあるのに事業所数は増え続けており、顧客の確保が難しい状態という。
一方、一部には、「保険外のシニアビジネスの足場作り」や「企業イメージ」から参入する動きもある。
ホームヘルパー約2400人が回答した介護労働安定センターの調査(2005年)によると、腰痛を自覚するヘルパーは49%。
抱えている問題意識としては「社会的評価が低い」(44%)「賃金が低い」(33%)「健康面に不安」(29%)などが多い。
施設職員も含めた離職率は20%と全労働者平均(18%)より高く、離職ヘルパーの45%、施設職員の50%が勤務後1年未満で辞めている。
不正をせず、質の高いサービスを提供する介護事業所を選ぶために、利用者の参考になるのが「介護サービス情報の公表制度」だ。
各事業所のサービス内容や運営状況などを、都道府県または指定機関が事業所からの報告に基づいてインターネットなどで公表する仕組みで、2005年の介護保険法改正で盛り込まれた。
情報はサービス別に90~250項目程度ある。
社団法人「シルバーサービス振興会」介護サービス情報公表支援センターの久留善武センター長は、「サービス提供記録を開示する仕組みがあるかなど、利用者の権利擁護を見るのに役立つ項目を特に参考にしてほしい」と情報の見方を指南する。
昨年度、訪問介護など9サービスで始まり、09年度までに全サービスが対象となる。
同振興会のホームページ(http://www.espa.or.jp)から閲覧できる。
「利用者が質の良い事業所を選ぶことが不正を減らす力になる。サービスを受けている人も虚偽がないかチェックしてみてほしい」と久留さんは話している。
【3つの提案】
◆市町村主導で地域の不正監視能力を向上
◆ケアマネの中立性を強め利益誘導を排除
◆報酬見直しなどで介護職の待遇の改善を
2007年7月3日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/security/20070703ik0b.htm
まさに介護と高齢者福祉の現場の問題点をきっちりまとめてくれた記事です。
問題だらけの介護保険制度。
振り回されているのは介護保険事業所はもちろん、サービスを利用している方々です。
問題はあっても仕方ないですが、その対応までもがいい加減すぎます。
超高齢社会の日本はこれからどうなっていくのでしょうか?
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